ハーフ判の憎いヤツ、ドゥカティ。
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今回はイタリアの精密な小型カメラ、ドゥカティです。オートバイメーカーとして知られているドゥカティは、実はラジオやカメラなんかも作っていたんだね。
ドゥカティ シンプレックス(左) ソーニョ(右)
ボク好きなんですよ、ドゥカティ。このカメラはすごく丈夫な作りだけれど、ビスが死ぬほど小さくて細い。だから時計用の精密ドライバーじゃないとバラせない。ビスは細いけれどシャシーのダイキャストが猛烈に精密なんだろうね。日本のカメラだと5本のうち4本のビスを抜くとガタガタするものだけど、ドゥカティは最後の1本まで抜かない限りカコカコしない。まるで戦前のコンタックスみたいな手応えだね。
ドゥカティ(左)とライカM3(右)
ドゥカティは、ライカの半分のフィルムサイズで撮るハーフ判。それにしても比べてみるとべらぼうに小さい。とてもラテン系の人が作ったとは思えない精密さなんだけど、ドゥカティってボローニャ地方の会社なんだってね。位置的にはミラノ・ヴェネツィア・フィレンツェのちょうど中間あたり。ヴェネツィアなんか日本人の感覚に近いし、やっぱり北イタリアだから作れたカメラなんじゃないかな。
ドゥカティ ソーニョ
イタリア語で「夢」という意味のソーニョ。シンプレックスは目測だけど、こっちはレンジファインダーも付いた夢のような小型カメラ。交換レンズも19ミリの広角から120ミリの望遠まで揃うし、外付けのファインダーや複写装置なんかもあってハーフ判ながら立派なシステムカメラだった。
ドゥカティ シンプレックス126.000円 ソーニョ252.000円
こんなにすごいカメラなのに、ドゥカティは1950年代をピークにしてカメラを作るのをやめちゃった。何でだろう? 「熱しやすく、冷めやすい」って好きな言葉なんだけど、そういうことかな。そう考えるとイタリアの凄いカメラって、ガンマとかヤヌアも熱しやすく冷めやすい感じだよね。やるときはやるけど、まあ、あとは知らないっていう感じがイタリアっぽいんじゃないかな。