“掃き溜めに鶴”といえば、エラックス。
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今月の「ひとこと」に出てくるカメラって、意外にフランス製が多いかも。困った時のフランスカメラということで、今回はリュミエールのエラックスです。
リュミエール エラックス
格好いいでしょ。リュミエールってフランスの映画の発明者と言われるリュミエール兄弟の会社で、カメラも扱っていた。でも、リュミエールのカメラはボックスカメラとかで、たいがいチャチなんだよね。
その中で唯一、すごくデラックスなのがエラックス。メタルのギロチン式シャッターが横に走る方式で、上から落ちてこないとギロチンじゃないのかもしれないけれど、いずれにしても精密な仕組み。
折り畳むとこんな感じ
1931年の販売価格は何と920フランという高額商品。底面の装飾がアール・デコ全盛の時代を感じさせてくれてお洒落。さすがフランスのカメラだと普通は思うのかもしれないけれど、実はエラックスに使われているファインダーは、ライカとまったく同じ。だから、エラックスはフランス国境近くにあるドイツの西側にあったメーカーに作らせたのかもしれない。そうじゃなければ“掃き溜めに鶴”みたいなカメラは出てこないんじゃないかな?
フィルムは127タイプ
ちなみにフィルムフォーマットはベスト半裁。モノクロネガもカラーネガもカラーポジもお店にあるので、このカメラを買った人はぜひ写真を撮って見せてください。レンズはベルチオのフロール50ミリ。3群4枚のテッサータイプだからシャープに写りそうだけれど、そこはフランス製だから、どんな結果になるかは撮ってみないとわからない。
リュミエール エラックス 予価525,000円
このエラックスはパリで見つけてきたもの。パリと言っても普通に店に並んでいるような品物じゃなくて今までで3台しか扱ったことのない珍品です。これからオーバーホールするんだけれど、すごくシビアなカメラなので、一人で集中する時間を作らないと取りかかれない。そんな訳で、すぐには売れません。来年2月の銀座松屋デパートの催事には間に合わせるつもりなので、楽しみにしておいてください。