クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

世界最小35mmフルサイズカメラはどれだ?

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今回は、35mmのパトローネ入りフィルムが使える小さなカメラのことを話そうかと思います。もちろん戦前から35mmフィルムを使う小さなカメラってあったけれど、ハーフ判とか24×24サイズばかりだった。それが戦後になるとライカと同じフルサイズで、かなり小さなカメラが出てくるんですよ。

Klein 35
Klein 35 64,800円

このカメラの名前はKlein。クラインってドイツ語で「小さい」という意味だよね。フィルムとカメラのサイズを比較してみると、ずいぶん小さいのがわかる。このカメラは巻き戻しがないダブルマガジン方式なんだけど、35mm判のフルサイズで撮れます。ドイツ語の名前が付いているけど、実はイタリア製なんだよね。1950年代の前半に作られた可愛いカメラです。

Rollei35 Germany
Rollei35 Germany 108.000円

さっきのクラインが出てから15年ほど後に、かなり本気のフルサイズカメラが登場する。それがローライ35だね。このカメラで充分だから、もう前に使っていたのは必要ないってニコンF2フォトミックのセットをウチに持ってきたお客さんが昔いたけど、それくらいローライ35って優秀なカメラなんですよ。なんだかんだ言って、1967年にローライ35が出てくることによって35mmフルサイズの超コンパクトカメラをいろんなメーカーが作ることになるんだけれど、ローライ35以前にもクラインの他にあれこれ小さなカメラがあったんです。

MEMOX 24×36
MEMOX 24×36 43,200円

これは、メモックスという小型カメラ。ローライ35が出るより随分前に作られていた物だけど、サイズ的にはメモックスの方が小さいかもしれない。レンズはBoyer社のSaphir。サファイアなんて宝石の名前をレンズに付けるセンスの国となると察しが付くけど、メモックスはフランスのカメラです。ボワイエ社のレンズは、ちょっとぼぉーっとした写りをするのが特徴だね。

24×36の撮影サイズ
24×36の撮影サイズ

もともとメモックスというカメラは24×24の正方形フォーマットだったんだけど、カメラの大きさは変えずに、フルサイズで写せるようにしちゃったんだよね。まぁ、いい加減といえなくもないけれど、愛嬌のあるカメラですよ。

Lucky
Lucky 54,000円

はい、これはラッキーという名前のカメラ。サイズ的にもかなり小さい、戦後すぐのタイミングで出てきたカメラです。クラインとは違ってラッキーはフィルムも巻き戻せる。ライカ判のフルサイズで、ライカをぐっと小さくしたような格好をしていて、名前はラッキー。どこの国で作っていたのかは、底蓋を開けると分かるんですよ。

Lucky フィルム装填ガイド
Lucky フィルム装填ガイド

まるでライカみたいな感じでフィルムを入れる仕組みで、ライカに似た図解でフィルムの装填方法があるんだけど、表記がイタリア語だよね。CARICARE COSIって「ローディングは、こんな感じで」という意味らしい。“こんな感じで”って、いかにもイタリアっぽいよね。