クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

カッサースコパークセナーテッサー

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今回は何だか変なタイトルだけど、オーストリアのカメラ屋さんから買ってきた珍しいカメラのことを話そうと思います。それを説明するのに、まぁそれほど珍しくはないカメラがまずは前座で3台でてきますよ。

ツェルト・ドリナー カッサー付 
ツェルト・ドリナー カッサー付 37,800円

これは、ドリナーというカメラで、レンズはシュタインハイルのカッサー。ツァイスのテッサーに語呂が似ているけど、中身も3群4枚の構成になってる。要するにテッサーと同じだね。

フォクトレンダー・ビトー スコパー付
フォクトレンダー・ビトー スコパー付 27,000円

こっちは、フォクトレンダーのビトー。レンズはスコパーだね。カッサーほど語呂はテッサーに似ていないけれど、スコパーもカッサーと同じでテッサータイプ3群4枚のレンズ構成です。このカメラ、小さく折り畳めるし良く写るし大好きなんだよね。

コダック・レチナ118 クセナー付
コダック・レチナ118 クセナー付 43,200円

で、これがレチナの118というモデル、最初のレチナを小改良したもので、1935年の発売だね。レンズはシュナイダーのクセナー。これもカッサーやスコパーと同じでテッサータイプのレンズです。

レンズはシュナイダーのクセナー
レンズはシュナイダーのクセナー

テッサーの性能があまりに素晴らしいので、テッサータイプのレンズをくっつけた35ミリ判の小型カメラって沢山あるんだけど、やっぱり本家のテッサーのほうが名前も知られているし、カメラを売るのに都合がいい。そこで、レチナ118にもテッサーを採用したいってコダックが言ったのかどうか知らないけれど、テッサー付きがあるんです。

レンズはカール・ツァイスのテッサー
レンズはカール・ツァイスのテッサー

これが、テッサー付きのレチナ。実は凄く珍しいんですよ。そもそもレチナをつくったのは、ドイツコダック。社長のナーゲル博士は、コンテッサ・ネッテルというドイツの名門カメラメーカーの人なんだけど、第一次世界大戦後の経済的大混乱の中でカール・ツァイス連合に組み込まれ、そこから独立して飛び出した経緯がある。だからナーゲル博士としてはツァイスのレンズなんてイヤだ!と思ってたんじゃないかな。いずれにしてもテッサー付きって、ものすごく数が少ないんですよ。

コダック・レチナ118 テッサー付
コダック・レチナ118 テッサー付 216,000円

で、このカメラを見つけたのは、オーストリアの街の片隅にある、もうすこししたら閉めちゃうんじゃないかなぁ。という感じの、お爺さんのやっている店。ウィンドウにはデジタルカメラばっかりが並んでいたけれど、中に入ってみると埃をかぶったフィルムカメラがすこし置いてあって、その中にこのカメラがあったんだよね。ふうーんレチナ118かぁ。とフタを開けてみたらレンズがテッサー! でも慌てた素振りを見せずに、まずは別の安いカメラ数台を買う。そして、ついでにコレも貰っとこうかな。みたいな感じで買いましたよ。整備が済んだのでウィンドウに置いてます。でも、あんまり嬉しかったから、このカメラは売りたくないんだけどね。

店内のご案内

今月のひとこと

お知らせ