アンダー・パーフォレーションって知ってる?
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。ライカを買ってくれたお客さんが時おり深刻な顔で相談に来ることがあるんだけれど、今回はそのなかでも結構よくある悩みについて解説します。それは、現像してみたらフィルム送りの穴(=パーフォレーション)にかぶって写真が撮れている。これはカメラの故障じゃないかってDPE屋さんに意見されたって心配してくるパターン。その場合、間違いなくライカはM型よりも古いバルナック型なんだよね。
ライカDⅢ クローム仕上げ
そんな時には、お客さん、これが有名なライカのアンダー・パーフォレーションなんですよって教えてあげるの。何でそうなるかっていうとライカは専用のマガジンに映画用の35ミリフィルムを装填して使うことが基本のカメラ。いま使われている使い捨てのパトローネ入りフィルムをコダックが出すまでは、その専用マガジンで撮影するしかなかったんだけれど、実は現在のパトローネも古いライカに入っちゃう。そうして撮影してみると、専用マガジンではあり得ないことが起こる。
アンダー・パーフォレーション
ほら、フィルムの穴ぼこまで画面がズレてるでしょ。これは専用マガジンよりもコダックの設計したパトローネのほうが微妙に背丈が低いので、フィルムの位置が微妙に下にズレちゃうことが原因なんだ。パトローネ入りのフィルムなんて世の中に影もカタチもない時代に設計されたんだから古いライカに罪はないし、これは故障とは呼べないよね。むしろこんなふうに写って当り前なんですよ。
ライカDⅢ(右)とⅢF後期型(左)
でもね、ライカもⅢF後期型になると、さすがにパトローネ入りフィルムも普及してきたからなのか、この問題に対策を講じるようになる。それぞれのライカを見比べてみても大きな違いは感じられないんだけれど、その秘密はカメラ本体じゃなくて底蓋にあるんですよ。
ライカⅢF後期型の底蓋
はい、この三味線のバチみたいな部品がフィルムを下からチョコっと押し上げることでアンダー・パーフォレーションを防ぐ。だから、どぉしても気になる人はライカⅢF後期型以降のモデルにするか、今となってはものすごく面倒だけど専用マガジンに自分でフィルムを装填するしかない。でもね、撮影したネガを見て「お、アンダー・パーフォレーションがでてるねぇ、これは古いライカで撮ったんでしょ?」とライカ通の人に気づいてもらって「さすが、ライカはいいねぇ」とか言ってもらえるのも悪くないと思うんだよね。