ライカコピー、最後のタナック。
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。年もあらたまったことですし、今回は珍しく日本のカメラをとりあげようと思います。ご存じのとおり日本のカメラの多くはライカのコピーをしているけど、それは日本に限ったことではなくてアメリカでもイギリスでもイタリアでもソ連でもライカのコピーをしていたんです。だけど日本のコピーライカが凄いのはホントにライカにそっくりなこと(笑)。ニッカとかレオタックスとかチヨタックスとかメルコンとかオーナーとかあったけど、そんな中で異色の存在なのが、タナックだね。
タナックV3とタナー35mm交換レンズ
田中光学のカメラだからタナック。田中光学のレンズだからタナー。たいがい日本のライカコピーはライカの真似して底蓋からフィルムを入れるんだけど、タナックは裏蓋が開くからフィルムが入れやすい。田中さんエライ!と褒めたくなるね。タナックV3は独自のバヨネットマウントで、専用のアダプターでねじ式のライカ用レンズが使える。
タナックV3の右サイド
基本的にはタナックも他の日本製ライカコピー機と同じでバルナック型ライカのコピーなんだけど、フィルムの巻き上げはノブじゃなくてライカM3みたいにレバー式になってる。裏蓋にもライカっぽい雰囲気のスケールがあるね。
タナックV3の左サイド
フィルム巻き戻しはライカM3より早いクランク式にしているし、ファインダー覗き窓は一眼式で標準レンズのブライトフレームも見える。小さなメーカーだったけど結構がんばっていたんだよね。
タナックV3のロゴ
Tanackってアルファベットで刻印されているんだけれど、最後の一文字って、ひらがなの「た」に見えない? もしかして「たなか」の頭文字だからシャレでやってたとしたら面白いよね。
タナックV3 整備済み 31万5000円
田中光学はV3を出したあと1959年に倒産してしまうので、これが最後のタナック。東京オリンピックを迎えることなく消えたメーカーだけど、カメラは元気に動きます。日本全国のクラシックカメラファンの田中さん、このカメラがあなたを待ってますよ。