クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

パノラマ首振りカメラ

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今回は、パノラマ写真が撮れるカメラです。横に長い範囲を撮るのに、単純にレンズが固定してあるカメラのフィルムの上下を隠してしまうパノラマモードというのが一時期フィルムカメラで流行ったけれど、それとは違って左右にレンズが首を振って写真を撮るタイプのパノラマカメラ。その元祖はパノラムコダックという戦前のカメラなんだけど、戦後になっていろんなパノラマカメラが出てきたんだよね。

ゴリゾーント 43200円
ゴリゾーント 43200円

これは旧ソ連のパノラマカメラ、ゴリゾーント。ロシア語で水平線という意味じゃないかな。英語だとホライゾン。見た目が宇宙っぽいけれど、このカメラが登場した1967年といえばソ連がアメリカとロケット技術で競争していた頃だね。

フィルムゲートは円弧状
フィルムゲートは円弧状

このカメラは普通のパトローネ入り35ミリフィルムを使って、横幅をライカの2コマぶんに近い約6センチで撮る。レンズが左右に首を振っていって、その反対側の円弧状に置かれたフィルムに露光していくという原理は戦前のパノラムコダックと同じだね。

FT—2 32400円
FT—2 32400円

これも旧ソ連のパノラマカメラ、FT—2。名前からして業務用っぽいけれど、見た目もそんな感じだよね。FT-2は1958年から製造開始されたモデルだけれど、その前のFT-1は戦後すぐの1948年に登場しているから結構古いカメラだね。

長いフィルムゲート
長いフィルムゲート

フィルムはライカなんかと同じ35ミリのものを専用のマガジンに詰めて使う。ゴリゾーントよりも1コマの横幅が長くて、だいたい10センチくらいある。撮影される左右の画角は、ほぼ同じで120度。

ビスカワイド 21600円
ビスカワイド 21600円

で、首振り機構を内蔵したパノラマカメラをコンパクトなサイズに仕上げたのがビスカワイド16。1961年に発売された日本製でメーカーは太陽オプティック。首振り機構を採用したパノラマカメラって結構大振りになっちゃうんだけれど、このカメラは手のひらサイズです。

フィルムは16ミリ
フィルムは16ミリ

撮影フィルムが16ミリだからボディを小型にできたんだね。35ミリフィルムを使うパノラマカメラと同じ仕組みで、フィルムは円弧状にセットされる。サイズは小さいけれど撮影される画角は約120度。

ワイドラックスF7 64800円
ワイドラックスF7 64800円

日本製のパノラマカメラといえば、このワイドラックスだよね。最初のワイドラックスが登場したのは1959年頃だからニコンFと同じ時代。それから型番をいろいろ変えて、このF7が出たのが1977年。最終機のF8は、俳優のブラッド・ピットが1997年に来日したときに買ったという逸話もあるそうです。

注意書きは日本語
注意書きは日本語

このスリットの向こうにレンズがあって、35ミリのパトローネ入りフィルムを横幅約6センチのワイドサイズで露光させる。画角は左右140度の本格パノラマ。ピントは固定でシャッターも3速、ファインダーも写る範囲が広すぎて撮るときに心配という人もいるけれどボクは「大丈夫、写ってますから!」と言ってあげたい。特殊なジャンルだけれど、そんなに撮影は難しくないですよ。

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