ライカ、苦渋の選択
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。今回のカメラは、ライカの中でも珍しさはピカイチのモデル、コンパーライカを紹介します。
コンパーライカ
アメリカではライカB型とも呼ばれるコンパーライカ。距離計のついていないモデルをアメリカではA型と呼ぶので順序からするとB型になるんだろうね。ドイツではⅠ型のコンパー付きと呼びます。こっちのほうが分かりやすいのでドイツ式で説明すると、距離計のないライカがⅠ型、距離計付きがⅡ型。スローシャッターが付くとⅢ型。そのⅢ型が登場する1933年までは、ライカはスローシャッターを切ることができなかった。できないとなるとユーザーからスローシャッターの切れるライカが欲しいっていう声があがったんじゃないかな。
リムセットコンパー
おそらくライカを設計したオスカー・バルナックは、もともとスローを切るつもりはなかったと思う。そこで苦渋の選択としてライカの本体に入っているフォーカルプレーンシャッターを取り除いて、レンズ側に汎用性のあるデッケル社のコンパーシャッターを乗っけたんだね。これは1928年に登場した後期型のリムセットコンパー付きモデル。
リムセットコンパー付きライカ
整備済み 54万円
スローは切れるし、サイズももとのライカと同じ。でも正直なところあんまりライカっぽくないんだよね。とユーザーが思ったのかどうか知らないけれど、コンパーライカはたいして売れなかった。この後期型ですら961台。ライカのモデルとしてはかなり数が少ないです。
ダイヤルセットコンパー
コンパーライカ最初機のモデルは、シャッター速度の設定がレンズ外周のリムじゃなくて小さなダイヤル式のもの。こっちは更に数が少なくて1926年にまず61台作って、リムセット式に切り替わるまで全部で638台しか作られてない。レンズの先にシャッターをくっつけて、カメラの中身は空っぽなんだけど、レアなライカではあるよね。
ダイヤルセットコンパー付きライカ
整備済み 156万6千円
ライカを集めている人でも、コンパー付きライカに行く人はレアだね。ここまで行っちゃうと、あとは報道関係に特別に作ったライカレポーター250とか、フランス占領地域で生産されたモンテザールとか、科学技術用として特別に作ったハーフ判のライカ72とかね、まぁ普通のカメラ好きとは違う次元の激レアなライカへの扉を開くカメラかもしれないので、ある意味で危険なライカだよね。