不遇の二眼式カメラ、プリマレッテ。
どうも。店主の早田清（はやたきよし）です。前回のカメラはちょっと珍しかったけど、今回はもっと珍品。なにが珍しいってレンズが２つあるから二眼レフかと思いきや、「レフ」じゃないカメラなんだ。下のレンズで写真を撮るのは二眼レフと一緒なんだけど、上のレンズの画像はカメラの裏側にある磨りガラスを観察する仕組みなんだ。まあ、デジカメのライブビューみたいな感じだよね。そうはいってもレンズからの画像そのものだから上下左右が逆さま。カメラをグルリと回して上下を逆に構えてみても、磨りガラスに映る世界は上下逆さまのままです。
二眼レフって上のレンズに４５度の角度でミラーを置いて、真上から覗き込むことで左右は逆像だけど上下は普通に見える。だけどミラーがあるのでかさばる。そこで二眼なんだけどミラーは使わず薄さに挑戦したのがこのプリマレッテというカメラなんだ。
【プリマレッテ マクロプラズマート付き】
蛇腹が上下に２セットあって、かなり不思議な格好だよね。ピント合わせで近距離になるにしたがって上のレンズが微妙に下のレンズに近づいていって視差を補正する機構なんかも搭載している。二眼レフじゃなくて、いわば二眼ビューカメラという形式のカメラは、ほぼ空前絶後。しいて似ていると言えば蛇腹じゃないけどイタリアのＳＵＭＭＡレポートとか、コニオメガフレックスＭぐらいしかない。でも、プリマレッテを作ったクルト・ベンツィンは立派な会社で、その証拠にレンズは名門のメイヤーやツァイスから供給されているんだ。焦点距離はいずれも７５ミリで、テッサーはF3.8、トリオプランはF2.9。さらに極めつけはマクロプラズマートF2.7付きって言うのもある。
【プリマレッテ レンズ違いの三役そろい踏み】
プリマレッテの総生産台数は、おそらく１０００台に届いていないんじゃないかな。めったにカメラ屋のウィンドーで見られない品物です。特にマクロプラズマート付きなんて、ウチでも初めてですよ。ちなみにお値段は、それなりに高い。自分のコレクションに加えるべきかどうか、よぉく考えてくださいね。
