第七十七回 飼っていたネコのこと

この写真は日本カメラの『帰って来た!!おこづかいカメラ大捜索』っていう付録の表紙なの。改装前の早田カメラの様子が写っているから貴重だよね。たぶん魚眼レンズで撮っているから店の中が広々しているけれど、実際はこんなんじゃなかったよ。それでね、この表紙の左下にネコが写っているでしょ。これが昔飼っていたコウタです。
早田カメラではハッピー、チャッピー、メリー、ルンとルーリー、ティナ、ピコ、アビィ、ロモ、ベルチオと犬をずっと飼い続けているんだけど、ネコがいたときもあるんですよ。最初のは息子のアツシが高校生の頃にうちの墓地に子ネコが出てきたのを拾ってきちゃってね、そいつはものすごく噛みつくからガブリエルっていう名前になったんだよね。ガブガブ噛むからガブリエル(笑)。だけどね、ガブリエルはすぐにアツシの同級生がもらってくれたの。どうしてかっていうと、ばあちゃんは植木が命の人だったからなんだよ。屋根の上なんか鉢植えだらけでね、部屋の中には蘭とか。そういう風に大切にしている鉢植えの土をほじくられたりするからネコが嫌いだったんだよ。
そのばあちゃんがお姉さんの家に行っちゃったんでネコが飼えるようになって来たのがコウタ。こいつは何かっていうと外に出たくてしょうがないやつだったんだよ。2階の窓をぐいっと自分で開けてね、ベランダをつたって隣の蕎麦屋のその隣の家まで行っちゃって大騒ぎになったこともあったんですよ。
そんなもんだから、しかたなくコウタにミュ〜〜ン!って伸びる紐をくっつけていたんだよ。そうしたらある日、外を歩いていた人が泡食った様子で店の中に入って来て「あのさぁ、すいませんけれどオタクの2階の軒先でネコが首を吊っているんですけれど、助けなくて大丈夫ですか?」って言われて店の外に出て2階を見上げたらびっくりだよ。コウタがブラ〜ン、ブラ〜ンってぶら下がっているの。伸びる紐をつけておいたんだけど、それでも外に出ようとして踏み外して落っこっちゃったもんだからビュイ〜〜ン!って紐が伸び切って、それがミュ〜ンって少し戻って、それで宙吊りになっちゃったんだよ。すぐに2階に上がって引っ張り上げたらケロッとしていたけれど、ショックだったと思うよ。あれは可哀想なことしたよね。それから紐なんかでつながないようにしましたよ。
次回予告
コウタとツヨシ
