早田カメラ史 『懐かしの1枚』

第五十八回 ICSの旅行@湯元

湯元温泉にて(2001) 湯元温泉にて(2001)

これは箱根。2001年でG一の山ちゃんが幹事だった時の写真だよ。こうして見ると古い感じがするよね。中古カメラの業界って日本のバブルが弾けてもずっと景気が良くてね。デパートの中古カメラ市の売り上げが全体で合算すると何億円もあったんですよ。そこに出店しているお店の団体がICSで、幹事になる店が持ち回りになっていろんなところに旅行に行ってたの。外国にもしょっちゅう行ってたよ。

うちが参加したのはカナダが最初でラスベガスが最後の方。ハワイにも2回行ってるからね。あとはオーストラリアとかマレーシア、韓国の済州島にも行った。でも、お金がなくなってきて日本と外国が1年おきになった頃なの。この写真、さすが日本って感じだよね。なんだか昭和っぽいって? この時点でもう平成ですよ、平成13年。とはいえこの集合写真は間違いなくフィルムで撮ったものです。どんなカメラで撮ったかなんて気にもしてないし覚えてないよ。

日本国内の旅行になった一番最初はね、忘れもしない北海道ですよ。Lキーカメラが幹事をしていて、JTBからどこにいくらで泊まりますっていう見積もりが全部来たのよ。豪華なのが値段でわかるから楽しみにして飛行機で札幌に着いたの。だって1泊5万8千円とか言ってるんだから期待するでしょ。定山渓温泉でさ、いかにも豪華なホテルが見えてきたからこれだ!と思ったら通り過ぎて、今度こそ!って思っても通り過ぎて、ということはこれか?と思っても違っていて、結局たどり着いたのがどこだったと思う? なんとウチの娘が修学旅行で行ったところと同じホテルだったの(笑)。もうビックリだよね。それでSヤカメラの社長が中居さんに「ここは1泊いくらになるんだい」って聞いたら、「はい、普通の日ならいくらいくらです」って言ったのがすごい値段で。もう目が点ですよ。

なんだかんだLキーカメラの社長が妙なことをしたんじゃないかって話ですよ。あの店は番頭さんが頑張って切り盛りしているけれど、そもそもあそこの社長はカメラに興味があったわけでもなくて、普通のカメラ屋とはちょっと違うタイプの人だからね。それでね、この旅行には添乗員がくっついてったの。最後に普通は「みなさんお疲れ様でした。気をつけて家までお戻りください」とか、あいさつするじゃん。でも羽田空港で解散って段になったらピューッと急にいなくなったもん。ヤバイと思ったんでしょ。結局はグルになってたんだと思うよ。その翌年にICSの旅行の提案をさせてくださいってJTBが営業に来た時に「前回の汚名を返上させてください」って言ったんだぜ。冗談じゃないよ、それって自分たちがデタラメなことしましたって認めてるってことでしょ。そんなもん2度と頼むわけないよね(笑)。そういう意味では、この箱根の旅行よりも北海道の方が懐かしいよね。