早田カメラ史 『懐かしの1枚』

第三十一回 ちょこっとチェコまで

チェコ南部、チェスケーにて(1996) チェコ南部、チェスケーにて(1996)

これはね、チェコのチェスケーっていう町。撮ったのはシュトラッサーの奥さん。だから珍しくシュトラッサー本人が写真に撮られてるの。普通は自分が写真を撮る方で撮られるのは嫌いだから。非常に珍しい写真ですよ。こうやって、カメラを買いに行くと年がら年中出かけてたんだよね。ここ行こうあそこ行こうって、行くたびにね、カメラのこともそうなんだけど、いろんな場所に車で連れて行ってくれて、結構いろんな所に行ったよね。

お家のあるリンツから、山に囲まれた眺めのいい湖のあるヴォルフガングゼーとかにも連れて行ってくれたの。だからオーストリアの景勝地がテレビとかに出るじゃない。そうするとほとんど行ったことある場所なの。もちろんカメラは買うのよ。でも彼らも売るだけじゃなくて今度はあそこに連れて行こうとか計画してくれてるわけ。行って、そこでワインを飲んで、食べるのも大好きだから美味しいところを調べてくれてね。

シュトラッサーさんの家に行くとね、とりあえずカメラを見る前にますシャンパン飲め、それで白ワインもって、もうガバガバ飲ませるんだよ。だからね、本当にべろべろになってから「さあ、カメラを見ろ」ってなるの。だから、いいやこれも買っとけ!ってなっちゃう。俺だけじゃないんだよ、あっちも飲んでるんだから。シュトラッサーさんは太っちゃって糖尿病もあるから本当はお酒はまずいんだけど、ママは私たちをスゴイ気に入ってくれて歓迎してくれているから春なら旬の白アスパラとかいろんな料理を作ってくれてね、料理するのが趣味だから。それで白ワインを産地の蔵まで行って買って何本か地下のセラーに置いてあるのよ。それがチェコのやつなの。とにかくワイン好きね。やっぱりオーストリア人だから白ワインが好きなんだよね。リースリングだね。

リンツから車でチェコまですぐですよ。オーストリア人は自分の身分証明書を見せてしまえば国境を抜けられるのよ。ところが当時は僕らがチェコに入るときはビザがいるの。あるときビザなしで行っちゃって検問所で「いまビザを発行するから1人3万円ね」って言われたらシュトラッサーが「NO!」って言い放ってUターンして帰ってきたこともあったよ。

オーストリア人はチェコにタバコと酒を買いに行くの。無税だったから。チェコで買えるタバコなんて限りがあると思うでしょ。ところが全部あるの。びっくりするよ、セブンスターとかあるんだから。マイルドセブン、あるじゃない!みたいな。一箱70円。最初にチェコに行ったときに日本から持って行ったマイルドセブンが切れちゃって、ほっと見たらあるんだよ。1個いくらって聞いたら70円。じゃあ10個ちょうだいって。税金ってすごいんだなぁって思ったよ、あの時は。270円位だったのね、あの頃。それがたったの70円。税金が200円ってことね。まぁ、今はタバコやめちゃったから関係ないんだけどね。