早田カメラ史 『懐かしの1枚』

第二回 幻のミノルタSR-2

早田カメラのショウケース(1961) 早田カメラのショウケース(1961)

実はカメラ屋をやっていても、ショウケースの写真を撮ることってあんまりないんだよね。この写真は親父が昔に撮ったものがたまたま出てきたの。赤いマジックで写真の下に書いてあるから、きっとミノルタSR-2で撮ったんだね。その次の数字はおそらく絞りがF4でシャッター速度が1/250秒ってことかな。TOIXは、コダックのトライXフィルムのことなんじゃないかなぁ。書き方がいい加減だよね。

ケースの上の段をよく見てみると左から2番目が空いてて、値札に『ミノルタSR2f1.8 B〜1/1000 ¥27500』って書いてある。ここに置いてあったミノルタSR-2で撮ったのに間違いないね。ところでミノルタの一眼レフってSR-1じゃなくSR-2が最初のカメラだって知ってた? SR-1が後から出てシャッターは1/500秒までしかなかったんだよね。だからちゃんとシャッター速度が値札に書いてあるんですよ。

この写真がいつ撮られたのかって? 少なくともSR-2で撮っているから1958年よりも後のことになるでしょ。ケースの上段のカメラはキヤノンⅣSBが¥27800。結構高いな。でも箱が付いてるからこんなもんかな。ニコンS3がニッコールのF2がついて¥38500。これは安いんじゃない? その隣にスーパーセミイコンタがあって¥29800。この写真だと4型か5型かはわかんない。これはみんな中古の値段だね。それでニコンS3の後ろに元箱の上に乗っかったキヤノネットがあるでしょ。これは多分新品なんだと思うんだよね。キヤノネットが出た年だから、1961年の撮影ということだね。

この頃は、まだ小学生だから店の手伝いなんかはしてなかったよ。しかしこうして見ると、結構カメラが沢山並んでいるよね。下の段にはオリンパスのエースEが¥12500。これはレンズ交換式で結構珍しいんだよ。アイレスバイカウントは値札が上を向いちゃってるなぁ。惜しい! ミノルタ35の距離計が付いてないのもあるね。こんなのがあったんだね、これも珍しいですよ。ミノルタノユニオマットはハンコで作った値札と、それを値下げした手書きのがあるね。手書きのは親父の字だけど、ハンコのは誰が作ったんだろう?

それにしても、もうちょっとピントが出るようにF11で1/60秒とかで撮って欲しかったなぁ。普通ならそうするでしょ。親父はせっかちだったから1/250秒にして、絞りはf4。三脚なんか使わずにサッ!と縦位置に構えてさ、パッ!と撮ったんだろうね。