35ミリの二眼レフって知ってる? その1
どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。ボクが修理するカメラは主に1965年までに作られたクラシックカメラで、今まで約4700機種は手がけてきたけどね、その記録を更新する事件があったんだ。それは何と学研「大人の科学」ふろく35ミリ二眼レフカメラ。修理して40年だけど、始めてのプラカメ(笑)。お客さんが話題にしてたから知ってたけど、直してみるとよく出来てる。メーカーは少し見習った方がいいね。何てったって税込み2500円なんだからビックリだよ。
断っておくけど、このカメラはウチじゃ扱ってないよ。じゃあ何で売ったカメラでもないのに直したかっていうとね、ちょっとカワイイ感じの女の子が泣きっ面で店に来たわけさ。ふろくカメラを首からぶら下げて「カメラを直してくれませんか」って言うんで「どうしちゃったの?」って聞いたら、何時間もかけてやっと組み立てて、とじ込みのシールも貼って完成! そうだ浅草行こうって来たけれど、フィルムがくるくる回るばっかりでシャッターが切れないらしい。
こりゃたぶん、最初に組む部品があべこべだなって言ったら「バラバラにしないとダメってことですか?」って泣きそうなんだよ。泣きそうな理由は、お気に入りのシールが剥がれてしまうから…。もうこの時点で帰ってもらっても良かったんだけど、可哀想だから芸術的にプラの繋ぎ目にカッターをツツゥーと走らせて分解してさ、直してあげたの。「はい、出来上がったよ」って渡したら「ありがとうございました!」って店から出て行っちゃった。普通は「いくらですか」とか何とか聞くよなぁ? まあ、ちょっとカワイイ感じだからいいんだけどさ…。
もういちど断っておくけど、基本的にウチの店で買ってくれたカメラ以外は修理しないからね。学研ふろく二眼レフも扱ってません。
でも、学研のじゃない35ミリ二眼レフならあるんだな。しかも、ふろくカメラより安いんだ。そのカメラとはコンタフレックス。かの双葉山も買ったと新聞記事になった通称“殿様カメラ”だね。当時の現金正価は2450圓也。ね、学研より50円安いんだよ。とはいえ昭和10年の発売だから、いまの金額に換算するなら1円って1万円くらいの価値があった。要するに2450万円のカメラってことだよね。やっぱりこれは、買っただけで新聞のネタになるカメラだね。
【コンタフレックス】